ご近所さんの気配

家にいる時間が長くなると、

小学生の男子は

だんだんとフラストレーションが

溜まってくるようです。

オンラインゲームを一通りやって、

好きな本を一通り読んで

宿題もほどほどに済ませた後、

お友達と遊ぶ予定もないときは、

一人庭に出て

ボール遊びが始まります。

体を思いっきり動かした後は、

とてもスッキリするようなのです。


相手がいないとき、

息子はどうやら

お空に向かってボールを投げて、

キャッチして遊んでいるようです。


頭の中では、野球の試合が

繰り広げられているらしく、

ブツブツと呟きながら、

随分と楽しんでいる様子です。


ところがある時から、

この遊びをしなくなりました。


「どうしてしないの?」と聞くと

手持ちのボールを全て

ご近所のお庭の茂みの中や、

雨どいに上げてしまい、

なくなってしまったからと

言うことでした。

密集している東京の住宅事情

ならではですね。


せめて

雨どいのボールは取らなくてはと

母も、傘や棒切れを片手に

回収を試みましたが、失敗。

程なく、

この遊びは終了になりました。


ところが最近、

なくなってしまったボールが

あちこちから顔を見せ始めました。


時に、芝生の上に転がっていたり、

自転車のカゴの中に入っていたり、

郵便受けの上に置いてあったり・・・。


実は、

いつものことながら

向かいのおじいさん、

お隣のおばさん、

大家さんのおじさんが、


「あそこの小学生のものだ」と

知っていて、

見つけると、そっと、分かるところに置いてくれるのです。


普段、頻繁に顔をあわせるわけではないけれど、

子どもがいることを

みんな感じていて、

優しく見守ってくれているんだなと思います。

そんな風に感じると、少しほっとする。


ゆる〜い穏やかな繋がりでは

あるけれど、

みんな知っているという安心感は

生活していく上でかけがえのないものだなと感じています。


今度顔を合わせた時は、

「ボール、ありがとうございました」とご挨拶しようと思います。


それはまたある意味では

子どもが繋いでくれる

貴重な縁なのかもしれません。







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