声のサイエンス
息子の中学受験まで
残すところあとわずか。
心も体もそわそわしている毎日ですが、国語の過去問を読んでいて、とても興味深い内容が目につきました。
(受験で扱われる文章って、結構なるほど〜というものも多かったりします)
問題文で扱われていたのは、「声のサイエンス」(山崎広子)。
これによると声は、言葉として捉えられる側面と、音そのものとして捉える側面があり、
新皮質(新しい脳:知的領域)と
旧皮質(古い脳:本能領域)、
脳のほぼ全領域に影響することが分かっているそうです。
人は、顕在意識だけでなく
無意識(潜在意識)でも
「心地よい、悪い、好き、嫌い」など、声を捉え、受け取っているのです。
また、生まれたばかりの新生児は
母親の声の調子やリズムから、感情や体調、行動まで読み取っているとのこと。
人間にとって、世界の認識は聴覚から始まるのですね。
私たちはあまりに日常的に声を使ってコミュニケーションをしていますが、
そこには、感情など、その時の心身状態が丸っと乗っていることには、
意外に意識が向いていないのかもしれません。
昔、漢方を学んでいた時、
先生が、患者さんの体質の診断には「声」は重要な要素になると話していました。
古くから、人の声には発する人の多くの情報が含まれていることが理解されていたのでしょう。
そのことを意識した時、
あたらめて、自分から発せられる声を丁寧にしていくことの大切さを実感したのでした。
「そろそろ勉強を始めたら〜?」と言う息子に向けて発せられる何気ないフレーズを取ってみても、
そこには、発せられた言葉以上に、私の内面の情報が載っていると言うことです。非言語の情報とでもいうのでしょうか。
人の聴覚と脳はそれらすべてを意識でもまた無意識にも受け取っているのです。
その非言語情報は、表面の言葉以上に膨大かもしれません。
そんな内容を読みながら、ふと日本で昔から使われる
”言霊”と言うフレーズが思い浮かびました。「言葉には魂が宿っている」
声はその人そのものなんですね。
声に関連してここ数年、気になっていることに、”歌声”があります。
歌声もまた、発せられた人のすべての情報が載っています。
そして、聴く人の潜在的な意識にまで働きかける何かがあるはずです。
沢山の歌声が、一つに集まって響き合う合唱はどうでしょうか。
一人一人の意識が歌声に乗り、一つに溶け合った時、
聴く人の心にどんな働きが生まれるのでしょう。
その意味を考え、また受け取りながら、来年の東京公演に向けて準備をしていこうと思っています。
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